J・キャンベルその3 結婚について

最近旦那さんが、「ずーっと昔から私と一緒にいた気がする」と言い出しました。

「ずっと? 私たちが初めて会ったのは5年前で、一緒に暮らし始めたのは1年前からだよ」と指摘しても、それはそうだけど、「○○(私のこと)がいなかった時間というものが自分にあったのか」と不思議に思うらしい。

男の人って、かわいいところがありますよね。


以下は、キャンベル先生が結婚について述べた箇所。

キャンベル: そうですね。先にもうひとつのほうについてちょっと弁じておくと――家庭生活のなかでは、たとえ本人どうしが決めたのではない結婚の場合でも、夫婦のあいだに愛情が芽生えるという事実を認めなくてはならない。言い換えれば、この種のアレンジされた結婚にも愛はいっぱいあるということです。家族愛というものがある。そのレベルでは豊かな愛がある。しかし、その場合にはもうひとつのものは得られない。自分の魂の片割れが相手のなかにあるのを認めた結果生まれてくる強烈な感情。吟遊詩人たちはまさしくそれを守るために立ち上がり、それが今日の私たちの理想になったのです。

でも、結婚は結婚ですよ。結婚は情事とは違います。情事は全く別ものです。結婚はあなたの存在の本質に深く関わっています。相手は文字どおりあなたの分身です。そして、あなたとその人とは一体です。情事はそうではない。それは快楽のための関係なので、楽しくなくなったらおしまいです。それに反して、結婚は生活に責任を持って関わることです。生活に関わるというのは、それが人生の主要な関心事になることを意味しています。もし結婚が自分の主要な関心事でないとしたら、結婚していることにはなりません。

モイヤーズ: ロマンスは結婚生活のなかでも続くのでしょうか?

キャンベル: 結婚生活によっては続くこともある。続かないこともあります。でも、問題は――吟遊詩人の伝統における重要な言葉を借りれば――誠実さです。(『神話の力』文庫版p.418)

ジョーゼフ・キャンベルが言うには、愛ある結婚は冒険である。―ジョーゼフ・キャンベル対話集
紙きれ一枚かもしれないけど、重たいものなんですね、結婚って。自分の存在の本質にかかわるものだ、なんて思って結婚する人がどれだけいるでしょう。でも、少しは分かる気がします。結婚すると二人で一組になるんですよね。

もちろん、あの紙きれ一枚は法律的に重たいものであって、判子を押すまで男の言葉を信用してはいけないって、有名なアメブロの「あの女」ブログでも言ってましたが。




あと、私が最近印象に残ったのは、「乗り移り人生相談」の88回目『結婚しなさい。ただし、結婚は心底つまらないぞ』の読者コメントで、「結婚は山道のガソリンスタンドのようなもの。次もあると思うともうない」。怖ろしいけど言いえて妙。
ここで触れられている、瀬戸内寂聴さんと塩野七生さんの対談も面白かったです。

神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
ジョーゼフ キャンベル,ビル モイヤーズ,Joseph Campbell,Bill Moyers,飛田 茂雄

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