『5-ファイブ-』内容紹介

『5-ファイブ-』です。(表紙の話とフリーの花写真はこちら


今回の自作は、こんなイメージ。

二十代のころ、同僚の三人で夜ご飯を食べにお寿司屋さんに行ったらカウンターになり、みんな魚の名前もよく知らなかったので、

あれ、私たちこんなとこに座っちゃったけど、大丈夫?
何を頼めばいいの? どうやってふるまえばいいの?

という、若かりし自分の「内心冷や汗状態」を書きたくて、短編にしました(それだけじゃないけど)

それでは、各話の内容紹介です。

『5 -ファイブ-』[アンソロジー短編集]

ランディング・ページから、楽天Kobo(9月14日ごろまで無料、楽天ポイントが使えます)、その他さまざまな配布サイトに飛べます。ページ内で立ち読みも可能です。
Kindleでは100円です。

【収録作品】
これこ  「五ツ葉のクローバー」
楢野葉  「ver.2015」
晴海まどか「5月5日の午後5時5分、5回目の五位堂芙美が告ぐ」
笹原祥太郎「15時の永遠」
山田宗太朗「5 A.M. SAINT」

この「わーくしょっぷ」のvol.1~5のまとめ版もあります! ランディングページはこちら。


五ツ葉のクローバー/これこさん
「彼女は幸せだと信じていたのに、一体何があったのだろう……」消し去られたはずの過去と踊る一編

(以下、紹介文は、ランディングページ用にそれぞれの作者が考えたものを引用しますー)

今回、まず文章そのものに挑戦を感じました。力が入っています。

作品は、紹介文のとおり、主人公の女性のキャラクター、その過去がカギです。
でも、案山子のじいちゃん、甘ったるいしゃべり方のコスモス、いかにもいい人な「夫」、鼠たち、面白い人物が取り巻いているので、ついそちらを読んでしまいますが……。
個人的には、ほんの少しだけある過去の回想がよかったです。暗示的に、必要最小限に書かれていて。「面白え顔!」の意味が分かると、ゾッとしました。

5月5日の午後5時5分、5回目の五位堂芙美が告ぐ/晴海まどかさん
1人の少女が屋上から飛び降りた、5月5日の午後5時5分。何回繰り返したらそのループは終わるのか?

大好きなタイムループ(タイムリープ)もの。
この構成を50枚という短さでそつなくまとめられるなんてすごいなあ、と感心。
めずらしく三人称で、キャラクターの男の子に対しても、突き放したような書き方になっているのが新鮮。
娯楽短編といいますか、今回、紹介文を読んで一番読みたくなる作品だなーと思いました。

15時の永遠/笹原祥太郎さん
自殺などと嘯きながら尻に火がつくまで保留、保留。そんな私の現実と虚構が入り混じる。さっくり掌編小説。

前回にくらべると、ちょっと一休み感のある、軽めの(といっても文章は重くなっている)掌編です。
他の誰にも書けないこの人の「味」を、これからも追及していただきたい。
赤ん坊を置いていった友人たちのキャラクターをもっと読みたい気がしました。

恵比寿のアトレ、私はこういう具体的な舞台設定が好きなので嬉しかったです。
今回、恵比寿(笹原さん)、新宿(山田さん)、渋谷(私)と山手線西側の駅がそろいましたね!

5 A.M. SAINT/山田宗太朗さん
大学院で政治学の研究をしている男に、若くてカワイくてエロい彼女ができて超ハッピーになる話、ではない。

エロく始まるなー、と思っていたら、晴海さんもおっしゃるとおり、終わりが爽やかすぎてやられました。何、このギャップ。
これまでの作品に出てきたキャラクターとビール(ロンプラ)が再登場しているのが感慨深かったです。このシリーズが終わってしまうような感じがして。実際はまだまだ、男のことで、女のことで、うじうじドロドロあるんでしょうけど。最近のSNSももちろんドロドロに加担していて、気にしてもしょうがないのに気にせずにはいられないという、後半の「メンヘランド」一人称(笑)が、いかにも山田さんという感じです。
でも、爽やかに終わるんですよ、ええ。

ver.2015/楢野葉
五年ぶりの彼女。五人の客。日常に存在するパラレルワールド。これが2015年バージョンのおれの現実。


自作です。頭の中ではこういうイメージ↑

「若者が、心の準備なく寿司屋のカウンターに座って、いかに冷や汗をかいたか」ということをまず書きたくて。(タイトルは『寿司屋の五人の客』のほうが分かりやすかったかな~)

二作目の『水晶柱』のときは、当時の私の目から見たミネラルショーを書きたかったのです。
そんなのブログで感想を書けば終わりじゃないか、と思われるかもしれませんが、そこをやっぱり「ストーリー」で再現してみたいのです……。

そして、「5(ファイブ)」に関連して、五年ぶりに会う女の子、カウンターの五人の客、という要素を入れました。具体的な場所を書くのが好きなので、今回は渋谷駅。

そして、書き終わって気がついたのですが、よく考えると一作目の『ヴァージョンBの世界』と対(ペア)というか、正反対というか、そんな話になっています。
キャラクターの関連性はまったくありませんが。
こんなこと自分で説明するものじゃありませんが、池袋/渋谷、女の子に会う/会わない、途中で目が覚める/目が覚めない、など。

(今朝、ブログのコメントで感想をいただけて嬉しかったです~!
『夢の又夢』という日本酒はあります、美味しいです^^)


* * *

ちなみに、二十代のあのとき行った店は、渋谷マークシティの「梅丘寿司の美登○」だと思います。
記憶があいまいなので、間違っているかもしれませんが。

なぜよく覚えていないかというと、恥ずかしさと困惑で、自分の記憶を消去してしまったらしく、結局、何を注文して食べたのか、まったく思い出せないんですよね……。


ではでは、今回は残念ながらKindleは無料にならなさそうなのですが、楽天Kobo他では無料ですので、よろしかったら!

コメント

  1. Yokoさん
    あの、『ヴァージョンBの世界』が気になりまして、
    先ほどバックナンバーをダウンロードさせていただきまして拝読させていただきました。
    (すみません、念の為申し上げますと私は変なストーカーとか何か企てを持った悪人とかではありませんっ)

    Yokoさんもおっしゃられておりましたが押井守さんのあの映画の世界を彷彿しました。
    じつは私、この夏にあの作品を初めて観たばかりでしたので至近距離でヴァージョンBの世界に入り込めまして。

    しかし私の一推しは『幽霊の引っ越し』です。猫が好きでして。。
    後書きに書かれてます小学生の男子と女子の話が書きたかった、という動機もとてもとても気に入りまして。

    上から目線な所感に感じられましたらすみませんが
    Yokoさんの作品から『物語をつくることへの愛情』みたいなものが感じられます。
    それがとても私には心地よく。

    コメントが長く重たくなりましてすみませんっ
    ふっとこちらのブログに巡り合いましたが、
    じつはじつは、私はYokoさんの作品に触れたことをきっかけに
    そうだ、ぼくも小説を書いてみようと思いまして。←ほんとうに重たいコメントですみません(笑)
    これからもこちらのブログを楽しまさせていただきます♪

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  2. おお、こちらにもコメントを書きこんでいただきありがとうございます!!
    なんと、「まとめ版」をお読みいただいたのでしょうか。m(_ _)m
    押井守監督の映画のサイバーパンクな世界、自分で行ってみたいとは思いませんが、
    引き込まれるものがありますよね!
    『幽霊の引っ越し』の小学生たちと猫を楽しんでくださって、とても嬉しいです。
    自分でもずいぶん楽しんで書いたので……。
    ただし、今読むと、あちこち書き直したいとも思いますが(汗)
    「ストーリー」は読むのも、自分で考えるのも好きです♪ なかなかうまくできないところもありますが……。

    とんでもないです~!仲間内では批評が楽しみなのですが、
    通りすがりの方から感想をいただくことはめずらしいので、感謝です。
    また、お暇でしたらブログも覗いてやってくださいませ♪

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