最近目にした「タイムトリップ」もの感想ごちゃごちゃ

前回記事のとおり、「タイムトリップ」「タイムジャンプ」もの、「未来の情報を得たうえで、過去に戻って修正」もの(?)、好きです~。
再放送していたドラマ版の『JIN-仁-』、『僕だけがいない街』などの感想つめ合わせです。

* * *

『JIN-仁-』は確かにタイムトリップものですが、江戸時代で医療の腕を生かして暮らしていく、という意味では、ある種のサバイバルもの(?)、男の自己実現漫画です。(何言ってんだ)

ただ、クライマックスに、坂本龍馬を暗殺から救えるか、という問題があるので、そこは明確に「過去修正」。

ドラマ版は、テレビらしく一般人と仮定した人々の常識に合わせたのか、「世界線は一つだけ」というスタンスで脚本が作られているようです。「歴史の修正力」など、原作にはない言葉も。

だから、個人的にはラストがちょっと「??」
ラスト一回手前の回で見るのをやめてもよかったかな、と(笑)。

多宇宙、マルチバースというのは、もっと普通の概念というか、最新の宇宙論でもそれほど荒唐無稽なものではないと思う。

ドラマ版のラストのように、「人々の記憶から、ある人についてだけ消える」「写真からある人の姿だけが消えるが、その人の業績は残る」といった現象が、小説的操作というか、「嘘くさいな」と思ってしまって。私だけ!?

一つの世界線だけ、無理に歴史のつじつまを合わせようとするより、個人的には「無限の宇宙にすべての可能性が存在する」のほうが、ありうるんじゃないかと。テグマークのいうレベル3、レベル4多宇宙でしょうか。

やっぱり、原作の「時空が違っても二つの仁、二つの人生、どちらもひとつもの」のほうが、未来的でいいです。意識はクォンタムですよね!

まあ、いろいろ書いてますが、結局、ドラマ版では「咲ちゃんが微妙にかわいそうだった」というのもあります。


ドラマのラストに納得いかない人はこの最終巻の後半だけ読みましょう! ぜひ。

ドラマ版は俳優さんのカラーか、主人公が「草食男子」すぎて、私と夫は後半、主人公とみなしてませんでした。

だって、何度も恋人の写真を見てグダグダ。もし現実にいたら、かなり頼りない感じ(笑)

ドラマ版は、咲と野風という、二人の女性の物語だと思って、見ていました。そうじゃないですか?

夫婦でドラマを見るときは、登場人物に勝手にあだ名をつけるのが好きです。
咲は、本人の言葉から、「医を志すもの」(後半は「医のはしくれ」に昇格)。
花魁の野風さんは「ありんす」(夫が勝手に命名)。
龍馬さんは「龍の字」。

野風さんがせっかく据え○になったのに、ちょうど火事があって草食男子に袖にされ、それでも落ちついて火事現場に行くようすすめるシーンでは、

「ありんす、すごいな。“私と仕事、どっちが大事なの!?”とか絶対言わない、女としての経験値の高さ」
「医を志すものはそこらへんまだまだだな」
などという会話が交わされていました。

ちなみに敵だった登場人物がだんだん主人公たちに協力的になっていくことは、わが家の用語で、「なかまになりたそうな顔をしている。」と表現します(ドラクエ)。

そして、なかまになった山田先生のあだ名は「ペニシリン奉行」でした。スイマセン。

原作にない「保険」の話がしつこく出てきたのは、手術の場面(すごくリアルに撮られていました)の監修に入った、どこかの病院か医師会か意向かな? なんて勘ぐってみたり。TPP……。
沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉 (集英社新書)

最後に、そのほか最近読んだそれ系の漫画の感想。



『僕だけがいない街』が、ハラハラさせられるのは、現在(小学生にリバイバル中の主人公から見たら未来)にも、明確な危機があることですね。
ただ、過去の後悔している出来事を変えたい、というだけでなく……。
それにしても、5巻の最後にきて、タイトルの意味深さが読者の胸に重苦しくのしかかります。
「スペア」発言とか、伏線張りまくりですし。

子どもの虐待、貧困の描写も悲しいです。
加代が主人公の家で出されたまともなごはんを見て、自分の家の食パン一枚乗った皿とか、百円玉が二個置かれたテーブルとか……そういうのとくらべる小さなシーン、よかったです。日本は、一人親(とくに母子家庭)の貧困率が世界最悪って、何とかならないのか。



一方で、『orange』は、サスペンスより、学生時代の一瞬々々のかけがえのなさを描こうとしているように思います。「過去修正」の枠組みは、単にそのための効果的な小道具として使われているのかもしれない。手紙が来たというそれ自体の謎はいつか解けるのかな~? 関係ないけど、長野県(松本周辺?)が舞台というのがいいです。菜穂ちゃんが可愛すぎてまぶしいぜ。あと、本筋とは関係ないけどアズちゃんとハギタがくっついたらミラクルだと思う。


謙虚、堅実をモットーに生きております!』は、ネット小説ですが、暇つぶしに読み始めたらやめられなくなって困りました。とくに少女小説(昔の。コバルトとか)を読んでいた人にはいいと思われる。

前世ではかっこよかった登場人物たちが、主人公の超・お嬢様も含めてどんどん「ぽんこつ」になっていくのが笑えます。円城はまだいい男っぽさをかろうじて保っているけど、皇帝は救いようがなくなってきた……。

作者はかなり教養のある方だと思います。
登場人物たちをオペラやクラシックの曲にたとえるシーンがありましたが、私は全然分かりませんでした。ムソルグスキーの“禿山の一夜”、聴いてみたい。茶道も習う順序があるんですね。あと、教養じゃないけど、スーパーのシーン「全然苦味がなぁ~い」などiPadで読みながら声に出して笑いました。学生じゃ、これは書けないと思う。

最近は、「未来の破局回避」という枠組みは消えつつあるようにも感じます。それでもいいので、いつかきっちり完結してほしい。


私の中では「ポストジブリ」の細田守監督。7月の新作も楽しみ。

「タイムジャンプ」「過去修正」ものをまとめた本や評論があったら読んでみたいです。
結構たくさんあるんですよね。
『時をかける少女(アニメ映画)』『メン・イン・ブラック3』もいいですし、小説も、古典から最近のものまでいろいろ。それぞれの世界線の整理とかやったら大変だけど、面白そう(いや、やっぱり大変かー。MIB3についてのこちらの考察(知恵袋の回答)、興味深かったです)。

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