2014年12月12日金曜日

ジョン・タイターへの手紙


ジョン・タイター本の感想です。(今年中に上げておきたかった記事をのせます。これは資料も含めると超・超・長文のたぐい。時間と興味のある方のみ、どうぞ!)

最初の『わーくしょっぷ』用に書いた短編で、ジョン・タイター由来の(と、当時は思っていた)暗い近未来を設定したのですが、実はWikipediaのページ以外読んだことがなかったのです。オィ

それもどうかと思い、昨年、邦訳『未来人ジョン・タイターの大予言』を手に入れて読んだのですが、これがいかにも、な題名にも関わらず、中身が濃くて面白かった。「物語」としてでも。
それで、一年くらいずっと感想を書きたかったのですが、ジョンの書き込みが大量で、なかなか整理できずにいました。

すべてが作り話とすると、ジョンの受け答えは実によくできているし、未来の社会についての想像力もすばらしい。とくに、核戦争後の人類の、「精神的な成長」について語っている点。はっきり言って、私が今まで読んだどんな近未来小説よりもリアリティがありました。
私の感想は、ひとことで言えば、もし次の世界大戦(核戦争)が起こったら、それは、「この世界線の負け」だな、ってことです。

多くの人間が魅了され、あるいは反発し、娯楽作品のインスピレーションになったのがよく分かりました。下手なSFより面白いと思います。翻訳がとても読みやすく、この本を出版してくれたかたがたには本当に感謝です。

よく読めば必ずしも「予言」ではないのですが、いわゆる戦争の「予言」がほとんど外れたように見える、2014年の今だからこそ、考えさせられる部分があるので、それについて書こうと思います。
(暗い未来の話や陰謀論を期待しているならご希望にそえません)

ジョンの世界線でどの国とどの国が戦った云々という話は興味がないので触れませんが、一つだけ。「ジョン・タイター」で検索するとよく出てくる未来の日本列島の地図、あれはこの本には載っていないのですが、ネタ元はどこなんでしょう。とくに知りたいわけではありませんが……ジョンは広島・長崎への原爆投下は正当化しているけど(アメリカ人は2036年になってもアメリカ人なんですね!)日本列島の地図を詳しく説明できるほど、日本に関心があるようには読めないんですね。

ジョン自身、「この話を信じてもらおうとはまったく思っていない」と語っていますが、信じても信じなくても、考えさせられる部分は十分あります。この「物語」について、想像するだけで嫌悪感を感じる、という人は、読まないほうがいいと思います。

私はただ、2014年12月の"バージョンD"の世界から、ちょっと本気で「ジョン・タイター」に手紙を書いてみたいだけです。正直、ジョン以外の人に読んでもらわなくてもいいくらい(笑)

























ジョン・タイター基本事項


☆ ジョン・タイターを名乗る男と三年間暮らした母親の証言
◎ 両親の弁護士の証言

1998年4月27日 息子が生まれたばかりのフロリダの若い夫婦(以下、両親)の元に、「2036年から来た38歳になった息子」と称する男(以下、ジョン)が訪ねてくる。☆
両親はジョンと暮らすことにする。☆
1999年 両親はジョンの忠告に従って2000年問題を避けるために引越しをする。☆
2000年1月 ジョンは2000年問題が起こらないと知ると、深い悲しみにおそわれた様子をみせる。☆
2000年11月頃 ジョンは父親のパソコンを借りて、インターネットの掲示板への書き込みを始める。☆
2000年11月2日 アメリカのあるオカルト掲示板に、2036年から来たと称する書き込みがある。書き込み主は「ジョン・タイター」と名乗る。

その後、5ヶ月間にわたり、ジョンはインターネット上で活発な議論をする。
タイムトラベルの理論、2005年から始まるアメリカの内戦、2015年に勃発する世界大戦、2036年における社会制度や人々の生活など、幅広い事柄について、詳細な書き込みをする。タイムトラベルで使用したとする機械の写真、マニュアルの画像などをアップロードをする。

「約一年後にCERNでタイムトラベルの基礎研究が始まる(11/2)」※、「陽子を使って非常に高いエネルギーを生み出す(実験がCERNで進められる)(12/21)」、「IBM5100の一般に知られていなかった機能」などについてあいまいながらも述べ、注目される。
※ブラックホールを人工的に作り出す(可能性がある)研究のこと

2001年3月24日 最後の書き込みがある。
2001年3月 ジョンは両親の元を去る。☆
2003年1月 ネブラスカ州の法律事務所をジョンの両親が訪ねてくる。ジョン・タイターに関わる写真、書類、メモ、彼の書き込み原稿のコピーなどを差し出す。◎
2003年 両親はフロリダから引っ越す。☆◎
























拝啓 ジョン・タイター様


あなたが何者であれ、インターネット上にたくさんの情報を残してくれたことに感謝します。あなたの書き込みは、さまざまな可能性について、本気で想像をめぐらすようにうながす力を持っていたと思います。あなたが望んだ通りに。


さまざまな可能性とは、無限の宇宙があるマルチ・バース、タイムマシン、核戦争などについての可能性だけではありません。2014年12月のいま、私が最も興味があるのは、これから人類が獲得しなければならないであろう美徳……人間どうしの愛や信頼といった精神的な成長についてです。あなたも結局はそれを伝えたかったのではありませんか?


あなたが自分で言ったとおりの人物なら、日本語と英語という言語の問題だけでなく、このインターネット上のテキストを見ることは絶対にないわけですね。なぜなら、私たちはあなたのいう「バージョンD」から派生した世界線にいるのですから。


あなたのことを考えるとき、私はお母様の証言を思い出します。
「2回、ジョンが泣くのを見たことがあります。1回目は、彼が初めて大型スーパーに足を踏み入れたとき。2回目は、向こうの世界での未来の家がある川沿いの地に私たちを連れて行ってくれたときです(P.19)」
あなたには不本意な箇所かもしれませんが、私はこれを読んだとき、あなたとあなたの世界線を奇妙に生々しく感じました。この話は最後にしましょう。


この世界線では、ご存じのとおり、2000年問題は大した問題になりませんでした。あなたには分かっていましたね、この世界線は自分の世界線とはずいぶん違った未来をたどることになるだろうと(お母様の証言があります)。でも、あなたは掲示板ではそのように書きませんでした(2001/1/15)。逆のことを言いました。あなたは私たちの世界にも第三次世界大戦が起こることを望んでいたので。しかも、こう言ってよければ、何らかの「善意の」理由で。


「戦争はあなたたちや、あなたたちの社会にとって有益だと思います。止めようとは思いません。(2001/2/5)」
「しかし私はそれを悲惨な出来事とは考えていません。「再生」はしばしば苦痛を伴うのです。私の世界線は1つの政府の元に統一されてはいませんが、統一的な目的を持った状態に近付いてはいます。いずれにせよ皆さんもそれが望みなのではないですか?(2000/11/25)」


あなたは実際にアメリカの内戦に参加したわけですし(自分を殺そうとする敵しか殺したことはないという言葉を信じたいですが)、一連の戦争は有益だったという主張も、理解できる部分はあります。たとえ戦争の結果として人類の約半数、30億人の人々が亡くなったにしても。
戦争の必要性について、掲示板ではあまり議論が行われなかったように思います。そこで、私の感想と意見を書きましょう。それがこの手紙の主題ですから。


私は「痛みを乗り越えて世界は一つになりつつある」というあなたの言葉に希望を感じました。
2014年の今、あなたの問いかけにはっきりと答えます。はい、私も自分の世界線にそれを望んでいます。世界が平和的に一つになることを。ただし、核戦争という悲惨な出来事なしで。


あなたが反論したいと思っていることは分かります。私は、あなたが構築した「情報のパズル」を読み解こうと試みました。あなたは戦争を人類全体としてはいいことだった、必要なことだった、と書き込んでいます。これについては議論はありませんよね。では、そう思う理由は? ここからは、私の推測を書かせてください。あなたの世界線で核戦争が必要だった理由とは、生き残った人類が次のような成長を遂げたからです。


・人種や性別による偏見の一掃(「同じ敵を相手に戦って、生き残り、水を見つけ、食物を育てようとしているときに、肌の色など関係あるでしょうか?(2000/12/6)」

・行きすぎた物質主義的、資本主義的価値観の後退と、他人に対する信頼、親密さの向上(「家族中心、そしてコミュニティ中心の生活を送っています(2000/11/4)」。「人と人との信頼は今よりずっと強く、過度に人を疑ったり恐れたりしません(2000/11/7)」。「年配の人々を尊び、コミュニティレベルでお世話をしています。孤児も同様です(2000/11/7)」「不要な食品や娯楽用品を大量に生産する大規模な工場はまったくありません。食物や家畜は現地生産・現地販売されます。読書やおしゃべりに現代の人々よりもずっと多くの時間をかけます(2000/11/4)」「多国籍銀行や、コンピュータ化された経済システムは存在しません。(2001/2/28)」

・その他、自然環境への配慮など(「2036年には、環境を「修復」するため多大な努力を払っています(2000/11/8)」「水です。水は何をするにも必要ですし、世界には確実に安全な飲み水はほとんど残っていないのです。(2001/2/24)」

また、死んでいった半数の人類には、次のような人々が含まれていました。

・他人を支配しようとする人間(「私たちの世界線では、もはや「NWO(※訳注:「新世界秩序」)」は恐れられていません。あなたたちだってナチスをまだ恐れていますか?(2001/1/6)」

・利己的で、他人と協力することができない人間など(「私の考えでは、ジェネレーションX(※訳注:1959年~1980年頃に生まれた世代)は最終的に2つの種類に分かれます。1つは、社会のしきたりや、こうあるべきという型にとらわれず、自分の足で立つことを身につけた人たち。もう1つは、自分がどう生きるべきかわからず、列車さえ時間どおりに来てくれればいいという人たち。前者の人々は、世界が地獄と化すのを「許した」ことに大きな罪悪感を抱き、後者の人々は死んでしまいました(2001/2/26)」
「半数の人が死んでしまったら社会はもっとよくなるかもしれない、と考えたことはありますか?(2000/11/15)」

私はこの世界線であなたが述べたような核戦争が起こるとは思っていません。来年(2015年)だけでなく、この先もずっと。十年前にあなたの話を読んでいたら、多少は不安を感じたかもしれませんが、2014年も終わりの今、この世界線はあなたがたの世界線とはあまりにも遠く隔たってしまったと感じるのです。1975年に2.5%だったズレは、いまどれくらいになっているのでしょう? 私たちのコースは未知の領域に入っています。これから数十年の間にこの世界線の人類が何を経験することになるのか、あなたには決して答えられないでしょう。


確かに、私たちの今の世界はひとつの統一的な状態とは言えません。ほど遠いと言ってもいいくらいです。個人では愛情深く思いやりのある人もたくさんいますが、国同士の関係になると、寛容や思いやりと同じくらい、多くの不信や憎しみが存在しています。人間どうしの共通点より、国籍、民族、文化、宗教などの違いにばかりフォーカスしています。人類は連帯していません。地球という惑星で、これからも一緒にやっていかなければならない仲間である、という共通認識には至っていません。


私たちは、一般的に、あなたがたよりも、家族や友人を重要視せず、「漫然と」人付き合いをしているようです。社会全体として、人間よりもお金を大事にしているようです。あなたが、無益な戦争で大勢の人が死んでいくのを見て、「どうしてもっと早く行動を起こして一緒に楽しい時間を過ごさなかったのかと悔や」むような経験は、(地球上の場所にもよりますが)私たちにはまだありません。あなたも指摘するとおり、私たちは同情心に欠けています。どこかの他人が貧困のために極度に辛い思いをしていても、利益を蓄積していくことこそが資本主義として正しいことだと私たちは教わっています。


最近、本当に最近、こういうことを考えるようになりました。半年前までは、こんな内容は書かなかったでしょう。


2014年12月現在、この世界線で核戦争の予兆は、幸いなことにそれほどありません。世界各地で紛争は起こっていますが……それをすでに第三次世界大戦であるという人もいますが(ローマ法王です)、しかし、それほど多くはありませんが、希望の持てる兆候もあります。


この世界線のささやかなニュースリスト:
2014/11/12 米中、温暖化ガス削減で合意 米が新目標
2014年11月21日 オバマ大統領:強制送還500万人猶予…移民改革を発表
大統領令:オバマ大統領の歴史的移民法声明
 →『沈みゆく大国アメリカ』(堤未果)によると、500万人をメディケイドに加入させて医産複合体が税金から利益を受け取れるようにするため……だそうですが。

2014.10.13 「同性愛者を歓迎すべし」 ローマ法王庁の姿勢に変化
2014.10.24 プーチン氏バルダイ会議演説:新たなルールはあるのか、それともルールのないゲームなのか?
Dmitry Orlov氏の『プーチンより西側諸国のエリートへ:遊び時間は終わり』


強い逆風もありますが、こうしたニュースが出てきたこと自体、力づけられる思いです。あなたは正反対の兆候に受け取るかもしれませんが、ポジティブな変化を含んでいると思います。長い目で見れば、この世界は新しくなろうとしている、つまり、より他者に寛容になり、誠実さを重んじる世界に少しずつ……ほんの少しずつ変わりつつあると受け取っています。今、世界中であれこれ起こっていることは、古い世界の「膿」を出すためのもののようにも思えるのです。あなたは懐疑的でしょうね。もちろん、私もです。


あなたはアメリカの内戦の原因についてなぜはっきり書かなかったのですか? この世界線にも、あなたがたが戦ったという「敵」はいるのですか? しかし、後者についてしゃべりすぎることはひかえます。暗い話はしないことにしたので。いずれにせよ、あなたの最後の書き込みに対する答えは、「はい」です。私たちもまた、自分のガソリンタンクは自分で運びます。そうするしかないですしね。


私は混乱がまったく起きないと思っているわけではありません。ある種の戦いがあり、すでに始まっていると思います。どちらが描く未来に、どれだけ多くの人が共感し惹かれるかを競うコンペティションのようなものになると思います。また、あなたは笑っているかもしれませんね。


いま、私の机の上には趣味の美しい鉱物標本が並んでいます。もう少ししたら、キッチンでコーヒーを淹れようと思います。東京は数日前からとても寒いですが、まあ、すべてひっくるめて、素晴らしい世界です。同じことなら一つしかない砂場をメチャメチャにする前に、つまり、核戦争を「何ラウンドも戦ってへとへとに」疲れ切る前に、私たちは大人になれるはずだと信じています。あなたが書き込んだような美徳を獲得できるはずだと……時間はあまりないかもしれませんが。


気を悪くしたのでしたらあやまります。何か言いたいことがあるのは分かります。私たちは誰もが自分の世界線を、無数の欠点はあるにせよ、「最もいい世界線である」と信じたがるのではないでしょうか。それでも、あなたは最後まで誠実でした。あなたは2036年の人類のほうが精神的に成長していると思いながらも、次のように書き込んだこともありました。
「わたしは、いつの日か、この惑星がきれいになり、再び暮らしやすい場所となって、ここを離れようとする人などいなくなればいいと思っています。とはいうものの、もしタイムトラベルが今、日常茶飯事だったら、膨大な数の人がここを離れ、おそらく、もう戻ってこないでしょうね。(2001/3/2)」


2001年1月26日の多元宇宙に関する書き込みは、興味深いものでした。この世界線の物理学者も、最近はマルチバースについて色々と議論しています。あなたが言ったようなことも含めて。
あなたの言葉を読みながら、ありえたかもしれない「別の世界線」をふと身近に感じたことが何度かありました。そよ風が頬を撫でるような感じがしたのを覚えています。確かに私たちの物理学は意識や記憶について解明できていません。あなたの世界線ではこういう言う方をするのでしたっけ。「起こりうる、あるいは起こるであろうことはすべて、既にどこかで起こったことである。(2000/11/4)


でも、正直に言うと、あなたの描く未来を身近に感じることは、最初にあなたの本を読んだ2013年よりもますます難しくなっています。並行して走っていた電車の線路が、どこかのポイントでそれて、以後、遠くに離れていくように。多分、あなたについて書くことはもうないでしょう。


さようなら、ジョン・タイター、あなたの世界線で、UNIXの2038年問題が無事に解決されたことを祈っています。最後にもう一度、たくさんの書き込みをしてくれたことに感謝します。あなたというキャラクターを私たちと分かちあってくれてありがとう。


あなたとあなたの世界線に心から愛を送ります。


2014年12月12日 Narano Yoko

























ジョン・タイター発言集

(手紙本文で触れた事柄を中心に抜粋)

ジョンの任務


2036年には、環境を「修復」するため多大な努力を払っています。私はあるコンピュータシステムを手に入れて2036年に持って帰るために、1975年に送られました。(2000/11/8)

Q なぜあなたがタイムトラベラーに選ばれたのですか?
私はIBM5100の開発に重要な役割を果たした人物と繋がりがあるからです。(2001/2/12)

タイムトラベラーは通常、目的の世界線で、目標に関係した人物の協力が得られるかどうかによって選ばれます。私の場合は、私の祖父がIBM5100の開発とプログラミングに直接関わっていました。(2001/1/15)

私が知っている限り、IBM5100には、きわめて興味深い特性が2,3あり、タイムトラベルまでして手に入れる価値があります。(2036年の)文明は戦争からの復興途上にあるということもお忘れなく。はい、私たちにはテクノロジーはあります。ただ、ツールが多く失われてしまったのです。

すでにお気づきかもしれませんが、UNIXは2038年にタイムアウトエラーを起こします。そして、インフラの大部分を動かしていたメインフレームシステムの多くは、IBMのかなり旧式のコンピューターコードに基づいていたのです。IBM5100を使えば、古いIBMのコードや、APL、BASIC、(1975年に微調整が加えられた)UNIXのコードを簡単に翻訳することができます。また、一見あまり重要ではないように思えますが、IBM5100が持ち運べることは大きな利点です。そのおかげで、簡単に2036年に持ち帰ることができるのですから。(2001/2/6)

IBM5100には、このシステムの発売以前にIBMが書いた古いコードをすべて解読して書き換える機能があり、しかもAPLやBASICで新しいコードを生成する能力がある、ということが2036年に発見された(と言うか、ともかくテストを経て判明した)のです。
そのため2036年にこのマシンが必要になります。けれどもIBMはこの情報を公にしませんでした。恐らく、公表すれば70年代前半の経営基盤の大部分が崩れかねなかったからでしょう。公表しないどころか、エンジニアたちが口止めされていたのは間違いありません。(2000/12/21)

(母親の証言)ジョンはタイムマシンよりも、1975年から持ち帰ったコンピュータの方を大切にしていました。義父がこのコンピュータに改変を加えており、ある意味で特殊なマシンだとのことでした。夫はこのコンピュータを見たとき、父親(ジョンの祖父)がこれを家に持って帰り、月面着陸ゲームをさせてくれたことを思い出していました。(P.28)

最初の「ひと飛び」は2036年から1975年への移動でした。2度のVGLチェックにより、(2036年との)誤差は約2.5%と見積もりました。(2000/11/15)

1975年に私が祖父に話しかけたとき、私が名乗った通りの人間だと信じてもらうのにかなり時間がかかりました。(中略)祖父は装置を見てから私のほうを振り返り、「お前は精神病院から逃げ出してきたか、タイムトラベラーかのどちらかだな」と言いました。(2001/3/14)

※ジョンは1975年の祖父に未来の家族に2000年問題への備えをさせると約束したため、1998年にやってきた。(2000/12/13、母親の証言)

もう少し分かりやすく説明してみます。私の世界線(A)では、私は2036年に、1975年での任務を与えられます。マシンをオンにして別の世界線(B)の1975年に飛びます。(A)とのズレは約2%です。(B)でマシンをオフにした時点で、私がいるという理由のみによって私は新しい世界線を作ったことになります。この線は(C)で、私が(B)に到達した時点で始まったものです。
さて私は世界線(C)の1975年で任務を果たしていますが、(C)の未来へ行って何が起こるか見たいという事情が生じます。マシンをオンにして、(C)の2000年(正確には1998年(母親の証言))へと進みます。

マシンをオフにしたとき、また新しい世界線(D)が始まります。ですから私から見ると、ここは世界線(D)の2000年です。私の故郷(A)に戻るためには、マシンをオンにして(D)をさかのぼり、(C)へ行き着かなくてはなりません。そこから(B)に向かって、私が(B)に到達する前の時点へと戻ります。そして(B)に到着した時点から未来へ向かい、(A)へと戻るのです。

2036年に私たちが取り組んでいる課題をお教えしましょう。
[1] あなたのいる世界線(D)は、私が(C)からここへ来る前には果たして存在していたのか?(私個人としては、存在し得ない理由がわかりません)
[2] 超宇宙の先端にある世界線の終わりでは、何が起こるのか?
[3] 無限の世界線と無限の可能性があり、超宇宙に先端があるのなら、世界線が先端に達したとき起こりつつある出来事はむちゃくちゃになってしまうのではないか?(時間はいつでも予告なしに終わる可能性があります)(2000/12/30)

私はここに着くと、まず父親に会いに行きました。私のことを簡単に信じてもらうことができました。今は両親と3歳の「自分」と一緒に暮らしています。家族は、私が何をやっているのか、なぜ私がここにいて、いつ出て行くか、はっきりと知っています。面白いことに、父はタイムマシンを見て、触ってもみたというのに、いまだにマシンの機能を本気で信じてはくれません。(2001/2/6)

技術情報を細部まで示さない限り、アップロードした書類(マニュアル)に機密性はありません。(2000/11/12)

(母親の証言)2000年問題が大した問題にならなかったとわかると、ジョンは3日くらいずっと驚きうろたえていました。その後は非常に罪悪感を覚えた様子で、1975年のある出来事のためにこうなったのだと自分を責めていました。私としては2000年問題が起きなくてよかったと思うのですが、ジョンは、私たちにとって未来はさらに悪くなってしまったのだと言い張りました。(2000/11/21)

書き込みの動機


まずはっきりしているのは、私にとって重要な世界線は私自身の世界線だけであって、ここで何が起ころうが私にはどうでもいい、ということです。けれど実際にはそういうわけではありません。この情報を提供したのは、人々がタイムトラベルの可能性を考えてくれるかもしれないと思ったからです。信じてもらおうとは思っていません。(2000/11/12)

Q  あなたを完全に信じるために、すぐに実現することの予言をしてほしいと思います。
お気持ちは理解できます。けれどもわかっていただきたいのですが、あなたが私のことを信じようと信じまいと、私には何の関係もないのです。(2000/11/15)

私は予定よりも長くあなたたちの時代に滞在しています。私が次にもとの世界に戻れるのは、春になってからです。私は大人になってからのほとんどの時間を、この時代のことについて書かれたものを読み、疑問を抱き、それについて話し合うことに費やしてきました。ですから、あなたたちとともに過ごすことのできるこの機会を大事にしたいのです。もしあなたたちが私を本物のタイムトラベラーと心から信じ、何の疑いも抱かなければ、私たちの交流は成り立たなくなってしまうでしょう。(2001/2/13)

私には秘めた計画などありませんが、あなたたちの世界線には大変注目していました。あなたたちと交流するのは、主要任務ではありませんでしたが、全てのタイムトラベラーに課せられた服務規程に基づく、第二の任務ではありました。

その附随的な目的とは、私たちがまず到着したときに、観察可能な一連の変化に基づいて、その世界線についてできるだけ多くの情報を集めることです。あなたたちの世界線はこれらの条件にあっていたのです。私が驚いているのは、なぜ2000年問題が自分たちにまったく起きなかったのか、ここの誰も不思議に思っていないということです。(2001/3/24 最後の書き込み)

ジョン自身について(母親の証言)


2回、ジョンが泣くのを見たことがあります。1回目は、彼が初めて大型スーパーに足を踏み入れたとき。2回目は、向こうの世界での未来の家がある川沿いの地に私たちを連れて行ってくれたときです。(P.19)

家族というものに対して、ジョンはいつも感謝の念をはっきりと示していました。(中略)また、ジョンはほとんど遠慮というものをせず、一般の現代人に比べて自分一人の時間をあまり持ちませんでした。(P.11)

私の幼い息子のジョンとこの成人したジョンとは、長い時間一緒に過ごしました。2人を見ていて、彼らが同じ人物だとはほとんど思えませんでした。(P.12)

ジョンは1対1での人づきあいに苦労していました。ある日ジョンが電話に出て、親友相手のような口ぶりで話していたことがあります。10分くらい話してから私に替わったのですが、実はセールスの電話だったのです。電話の相手は何かを売りたいだけであって、ジョン本人にいは何の関心も持っていないと知ると、ジョンは何だか馬鹿みたいだと感じたそうです。(P.29)

ジョンは異常なほど鋭い嗅覚を持っていました。人里離れたところにいても、火やたばこ、誰かが使ったせっけんの匂いをかぎ分けられました。私たちには違いがわからないようなときでも、ジョンはよくそこの空気がどんな匂いか教えてくれたものです。(P.16)

ジョンの買う新しい服は、必ず緑か黒の色合いでした。森で隠れることのできない服を着るのは居心地が悪い、と言っていました。(P.21)

ジョンはここへ来てから、毎週のように2日ぐらい風邪を引いていましたが、どんな薬も服用を拒みました。(P.13)

ジョン自身について


私の生い立ちは、この世界線の皆さんとはまったく違うと思います。自己責任、判断力、名誉、友情、自立というのは、口先だけの言葉ではありません。頭の中で思うだけではなく、実行を伴う必要があるのです。
私の世界線で生きていくのは容易ではありません。私たちの住む世界は、戦争や害毒、破壊、憎悪から回復する途上にあります。その原因はすべて、今この世界に生きる人々の考えや行動にあります。どんな株を買おうかと悩んだり、ある人間がインターネットでうそをついているのかどうかを気にしたりするようなそんな人々のせいなのです。

人の性格やコミュニティは、苦労や困難によって育まれると思います。私の初めての戦争体験は、13歳でショットガン歩兵隊に入ったときでした。「抵抗軍」として兵役に就いていた4年の間に、何百人もの人が撃たれ、焼かれ、血を流して死ぬところをこの目で見ました。フロリダ州ジャクソンビルに最初の核弾頭が落とされた瞬間、私はどこにいて周りで何が起こったのか、詳細まではっきり覚えています。無益な戦争で愛する人が死んだときに感じる悲しみや、どうしてもっと早く行動を起こして一緒に楽しい時間を過ごさなかったのかと悔やむ気持ちを、私は知っています。

(中略)あなたたちは憲法が踏みにじられるのを見過ごしながら、有毒とわかっているものを食べ、誰も必要としない製品を買い、周りで苦しみ死にかけている何百万もの人々から冷たく目を背けているのです。これが、あなたたちの認める「世界の慣行」なのですか?

未来のことを1つお教えしましょう。向こうでは、あなたたちは嫌われています。この時代は、怠け者で自己中心的、無知で愚鈍な市民だらけだと思われているのです。(2000年11月21日)

この日(2000年11月21日)のことはよく覚えています。これほどジョンが腹を立てるのを見たことはありませんでした。何にそんなに怒っていたのかはわかりません。(P.31、母親の証言)

私は人に非難されているとは感じませんし、逆に人を非難しようともしていません。どんな人の意見も等しく有効であり、私が何か言ったからといってそれであなたが意見を変えるべきだなどとは思っていません。(2000/11/25)

この世界線には信じられないほどの自由があり、それは素晴らしいことです。しかし、そこには落とし穴があると思うのです。自由の代償として、家族や地域と連帯感を失ってしまったのではないでしょうか。野望を自己実現することはできますが、そのために周囲の人やこれから生まれてくる子供たちにどれだけの犠牲を強いるのでしょうか? ここには信じられないほど多くの芸術、文学、限りない資源が利用できる環境がありますが、結局誰もがテレビばかり見ていて、それらを生かしていないではありませんか。(2000/11/25)

Q  あなたの個人的な過去について何か教えてもらえますか?
私は1998年に生まれました。子供時代の記憶には、皆さんと共通するものもあるでしょう。クリスマスにディズニーワールドに行ったことや、デイトナのビーチに行ったことを覚えています。「内戦」が始まり、それが激化すると、ほとんどの人は、都市で防護措置という名の下で公民権などないも同然に暮らすか、都市を離れて隔離性の高い地域で田舎暮らしをするかの、決断を迫られることになりました。私たちの家は一度家宅捜索を受け、通りを隔てた家の住人はよくわからない理由で逮捕されました。そこで、私の父は都市を離れる決意をしたのです。

私は8歳から12歳の間のほとんどの時期を、都市から離れた農村のコミュニティで過ごしました。そこでは他にも、連邦警察や州兵との戦いから逃れてきた家族が生活していました。その頃には、私たち一家は二度と都市に戻らないことに決めていましたし、「都市」と「郊外」の対立関係は明確なものになっていたのです。(中略)

その頃には、あちこちで大っぴらに戦闘が繰り広げられており、私は2011年にショットガン歩兵部隊に入りました。そこで4年間、「ファイティング・ダイヤモンドバックス」で兵役に服したのです(今、私の右耳の聴力はあまり良いとは言えない状態です)。内戦は2015年に終わりました。ロシアがアメリカの都市(つまり私たちの敵)と中国、ヨーロッパを攻撃したのです。とても普通とは言えない、最悪な子供時代だと思われるかもしれませんが、私にとっては何物にも替えがたい時期でした。(2001/2/2)

(中略)ここのところずっと、私は誰かに信じてもらおうとは思っていない、それどころか、そんなことはどうでもいい、私としてはむしろかなり危険なことだと思っていると再三言ってきました。信じるということは、つまり、あなたたちが私の話を真実であり、本当だと認めたということになります。インターネット上で、そんなことは不可能です。(中略)

また、頑なに何かを信じるというのは危険です。あなたたちの社会を見て、とても気がかりに感じたのは、皆さんは言われたことを盲目的に受け入れてしまうという点です。本当に、報道の世界には、筋書きがないと思います? 体に詰め込んでいるあの手のハンバーガーが本当に安全だと思います? 政府が本当に真実を言っていると思います? どれ1つとってもいったいどんな証拠があるというんです?(2001年1月3日)

世界大戦について


2015年に世界戦争が起こり、30億人近くの人が死にました。(2000/11/4)

Q  私たちのこの世界線とあなたの世界線が同じコースをたどっているとどうしてわかるのですか?
この世界線と私のはまったくそっくりだからです。

(母親の証言)これに関し、ジョンは、まったくの真実を語っているわけではありません。2000年問題が起こらず、大統領選が終わり、時が経つにつれてジョンは、ここの世界線が自分のものとはずいぶん違うものになるだろうと思い始めました。これはジョンにとって慰めになりませんでした。あの子は、もう一度起きた世界大戦の結果以上に、私たちの未来を危惧するようになったようです。(2001/1/15、P.82)

半数の人が死んでしまったら社会はもっとよくなるかもしれない、と考えたことはありますか?(2000/11/15)

戦争はあなたたちや、あなたたちの社会にとって有益だと思います。止めようとは思いません。(2001/2/5)

(母親の証言)ジョンには私たちの世界線で内戦が起こるという確信はありませんでしたが、起こることを望んでいたのは事実です。(P.37)

(中略)しかし私はそれを悲惨な出来事とは考えていません。「再生」はしばしば苦痛を伴うのです。私の世界線は1つの政府の元に統一されてはいませんが、統一的な目的を持った状態に近付いてはいます。いずれにせよ皆さんもそれが望みなのではないですか?(2000/11/25)

2036年の国際政治を何かに例えるなら、さしずめ何ラウンドも戦ってへとへとになっている2人のボクサーといったところでしょう。この国を攻撃したいと思っている勢力は確実に存在するものの、どこもまだきちんと組織化されていないというのが現状だと思います。(2001/2/8)

私の考えでは、ジェネレーションX(※訳注:1959年~1980年頃に生まれた世代)は最終的に2つの種類に分かれます。1つは、社会のしきたりや、こうあるべきという型にとらわれず、自分の足で立つことを身につけた人たち。もう1つは、自分がどう生きるべきかわからず、列車さえ時間どおりに来てくれればいいという人たち。前者の人々は、世界が地獄と化すのを「許した」ことに大きな罪悪感を抱き、後者の人々は死んでしまいました。(2001/2/26)

「敵」について


Q  これを読んでいるかもしれない世界の指導者たちに対して、何か言いたいことはありますか?
今日の自信を大いに楽しみなさい。なぜなら明日は負けるからです。(2000/11/25)

Q  私たちに覚えておいてほしいことはありますか?
お願いですから、目を覚ましてください。あなたの周りにある道しるべに目を向けてください。(2000/11/25)

あなたたちに望むのは、目を見開いて、自分の周りで起きている、私とは一切かかわりのない出来事を見て欲しいということです。(2001/1/3)

ロシアの敵はアメリカ合衆国政府であって、あなたたち市井の人々ではありません。(2000/12/13)

ロシアに攻撃されたアメリカの中の「敵」とは、今あなたたちを支配している政府のことです。(2001/2/8)

私たちの世界線では、もはや「NWO(※訳注:アメリカ新世界秩序派と呼ばれる極右勢力。現職の第43代ブッシュ米大統領の父、第41代ブッシュ大統領が1990年9月11日に行った「新世界秩序に向けて」と題した演説が始まりとされている)」は恐れられていません。あなたたちだってナチスをまだ恐れていますか?(2001/1/6)

Q  敵を見分けることはできますか?
正当な法律上の手続きを踏まずに人を逮捕や拘束したりする人間が敵です。

はい、新世界秩序という概念は実現が試みられたと思っています。私の考えでは、それはアメリカの旧連邦制、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリアが結びついたものだと思います。(2001/2/8)

Q  あなたは市民軍がアメリカ軍と戦ったと言っています。一般市民が軍隊と戦って勝てるはずがないと思うのですが。
重要なのは、誰と戦うかではなく、なぜ戦うかです。内戦は領地の奪い合いではなく、秩序と権利をめぐるものでした。政府側は、人々は自由よりも安全を求めていると踏んでいましたが、それは間違いだったのです。(2001/2/27)

未来のアメリカ


戦争の後、アメリカは様々な要素やそれぞれの軍事目的に従って5つの地域に分けられました。連邦政府には怒濤のような怒りが向けられ、州権の復活が最重要課題になりました。しかし、経済中心型の政府を作ろうとするなかで、軍事的指導者たちが古いシステムを政治的、また、精神的に受け継いでいることを示すため、最後の憲法制定議会を開くことにしたのです。

この議会の最中、指導者たちは、より良い新たな形の政府を作るのは不可能だということに気づきました。元の憲法それ自体には問題はなかったのです。ただ、そのもとで暮らしている人間の愚かさこそが問題だったのです。(2001/1/26)

大統領の職務を5人の政権に分けたのは、主に四つの理由からです。5人にすることで、外交政策がより一貫したものとなり、権力が別の政党に移った場合も、政府全体への影響は少なくてすみます。また、大統領間のそれぞれの力が政権の力を高めるのです。アメリカでは、主要エリアごとに1人の大統領が選出されます。(2001/1/6)

大統領府の権限は、今よりさらにずっと弱まり、分散化が進んでいます。統一国家としての権限はより限定され、その分、郡や州レベルに与えられています。(2001/1/6)

Q 現在の政府と比べ、2036年の新政府のほうが良いと思いますか。
新政府はうまくできていると思います。とはいえ、国からの補助を受けた福祉という概念はなくなっていますから、ここの人々の大半はあまりよく思わないでしょうね。(2001/1/6)

未来の人類


生き残った人々は、互いに身を寄せ合うようになりました。家族中心、そしてコミュニティ中心の生活を送っています。両親から数百キロも離れて暮らすことなど想像もできません。(2000/11/4)

不要な食品や娯楽用品を大量に生産する大規模な工場はまったくありません。食物や家畜は現地生産・現地販売されます。読書やおしゃべりに現代の人々よりもずっと多くの時間をかけます。信仰に厚く、誰もが暗算で掛け算や割り算ができます。(2000/11/4)

食料が現地生産されるようになった最大の理由は、病原菌や放射能に環境が汚染されているからです。それでも浄化はかなり進みました。水はコミュニティのレベルで作り、自分たちで育てた動物の肉を食べています。(2000/11/7)

未来人は今のような都会的な生活はしていませんが、コミュニケーションや移動のための「ハイテク」は使われています。自分で食べるものは自分で育て、今より多くの「野良」仕事をしています。そうですね、現代に比べると労働時間は長いです。(2000/11/7)

インターネットは未来でもまだ十分機能しています。コミュニティ中心の生活なので、人とのおしゃべりにより多くの時間を割いています。この時代でも、停電したときは同じ現象が起こりますね。家から出て、近所の人たちと共に過ごすことがよくあります。人と人との信頼は今よりずっと強く、過度に人を疑ったり恐れたりしません。(2000/11/7)

はい、遺伝子工学も利用していますが、(中略)異種間交配で植物の種を作ることはもうやめました。あなたたちは何を考えているんですか? (2000/11/7)

水泳、トランプ、読書、オンラインゲーム、それに外国に住む人と話すことなどを楽しんでいます。
地域ぐるみでお祝いをすることは今よりずっと多く、また、かがり火を焚いたりダンスをしたりします。(2000/11/7)

はい、電話はあります。ただしインターネット経由の電話です。発電はたいてい地域ごとに行われています。現在いかに多くの電力が浪費されているのか考えると、あきれるばかりです。はい、太陽発電は大規模に行われています。(2000/11/7)

年配の人々を尊び、コミュニティレベルでお世話をしています。孤児も同様です。人には必ず何かしらできることがあります。仕事をさぼろうなどという考えは軽蔑されます。皆が密接な関係を築いてコミュニティのきずなを強めています。(2000/11/7)

未来人は、現代人ほど髪のセットに時間をかけません。(2000/11/7)

未来では医療を行うことはずっと少なくなっています。(2000/11/7)

戦後、今ある偏見の大部分は、単に必要性ゆえに一掃されました。生き残るためには力を合わせて戦わねばならなかったのです。このため自然と、仲間の価値に対して目を見開かされることになりました。
同じ敵を相手に戦って、生き残り、水を見つけ、食物を育てようとしているときに、肌の色など関係あるでしょうか? 私の世界線では、コミュニティで自分の職責をちゃんと果たさない人に偏見を抱きます。私たちにとっての重荷だという目で見るのです。それを恥じた人はやがて責任を自覚するようになります。(2000/12/6)

人種差別社会ではありませんが、偏見の多い社会であることは確かです。(2001/2/8)

現金もクレジットカードもあります。ただ、例に漏れず、貨幣制度も地域ごとに分権化しています。銀行業務はコミュニティ組織を拠点としています。多国籍銀行や、コンピュータ化された経済システムは存在しません。所得税もありません。(2001/2/28)

Q ビル・ゲイツはどうなりますか?
これについては知っていますが、話すつもりはありません。(2001/2/23)

Q 未来の環境問題で最大のものは何ですか?
水です。水は何をするにも必要ですし、世界には確実に安全な飲み水はほとんど残っていないのです。(2001/2/24)

2036年には、社会生活はいくらか変わっています。人は貢献度と価値によって評価され、判断されるようになっています。仕事は家族中心にまとめられ、その仕事の価値はコミュニティの中で評価されます。コミュニティはそのほとんどが、1000~4000人ほどの規模で、もし、家族で別のコミュニティに移る場合、あるいは、息子や娘が他へ移りたいと言った場合、申し込みをして、そのコミュニティの指導評議会(CLC)の面接を受けなければなりません。

その間、家族、または個人は、手にしている仕事や技術が、そのコミュニティで求められているもの、あるいは必要なものか評価されます。ひとたび受け入れられたら、その家族もしくは個人は、そのコミュニティに貢献することが求められます。もし、それができなければ、コミュニティは援助をストップし、彼らは態度を改めるか、そこから去るしかなくなります。

(ジョンの家族はオレンジを摘み、仕分けし、輸送する仕事をしていた)私たちはその労働と引き換えに、エネルギーや水、一定量の食料、そして、コミュニティ内で生産されるその他の生活必需品を得ていたのです。(2001/1/5)

私は両親に、車を止めて助けてやろうよと言うのですが、両親は、「知らない人を助けたりしてどんなことになるかわかったもんじゃない」と言います。「人を助けるのがぼくたちの務めだよ」と私は言い返したものですが、別にそれが正しい行いだからというだけでなく、その人が本当は価値ある人間で、その人を失うのがどれだけの損失になるかわからないからです。

私は、ある医者が事故の被害者に救急処置を施したが死んでしまったことで訴えられたというニュースを見るまで、なぜ両親がそこまでかたくななのか本当のところよくわかっていませんでした。あなたたちの社会は生物学上、自滅に向かって設定されています。それでも、私はこのコミュニティの一時的な住人として、それは自分の責任を逃れる言い訳にはならないと思っています。(2001/1/7)

正確な数字は知りませんが、生まれる子供の数は今よりも格段に少ないことは確かです。子供は、あなたたちの世界を羨ましく思うことの1つです。(2001/2/23)

Q  未来の女性の地位はどうなりますか?
質問の意味は分かりますが、2036年の世界に関して特に語るべきことはありません。女性の地位は男性と同じです。男女平等の問題は、戦争中に消えてしまいました。(2001/2/23)

Q  未来の平均的なコンピュータの処理速度は?
GHzは実用的な測定単位ではありません。コンピュータの性能は、処理速度ではなく、1秒あたりに処理できる変数(計算ではなく)の数によって測られるのが主流になります。(2001/2/12)

たいしたニュースではないかもしれませんが、「if/then」方式は廃れ、「if/then/maybe」方式が主流になっています。(2001/2/5)

一般の国民は2034年頃にタイムトラベルについて知らされました。(中略)60%の人はタイムトラベルとは何か、そして、どんなことを意味するかを知っており、20%の人は関心なし、10%が信じない、そして、残りの10%が禁止または中止すべきと考えています。

Q  あなたの世界線では将来のタイムトラベルはどうなると考えられていますか?
いい質問ですね。わたしは、いつの日か、この惑星がきれいになり、再び暮らしやすい場所となって、ここを離れようとする人などいなくなればいいと思っています。とはいうものの、もしタイムトラベルが今、日常茶飯事だったら、膨大な数の人がここを離れ、おそらく、もう戻ってこないでしょうね。(2001/3/2)

タイムトラベル、多世界について

私のいたところでは、こういう言い方をします。「起こりうる、あるいは起こるであろうことはすべて、既にどこかで起こったことである」(2000/11/4)

私は容易にここで起こることに影響を与えられますが、それは皆さんもまったく同じです。あなたたち自身が、毎日平気で同じことをしているではありませんか。(2000/11/6)

まず、私は物理学者ではありません。タイムトラベルはあくまで、私が1975年での任務を果たすための道具にすぎません。飛行機のパイロットのほとんどは、航空宇宙学のエンジニアではないと思います。(2000/11/6)

タイムトラベルは重力を変えることによって実現します。この概念は原子時計の実験により証明済みです。観察者が(高質量)の重力源に近付けば近付くほど、時間の進み方が遅くなります。(中略)しかし、この種の重力操作では世界線を超えるには不十分です。
(中略)
ある種のブラックホールも、ティプラー・シリンダーによるタイムトラベルの効果があることがわかっています。ロイ・カーは、回転するブラックホールにある二重の「事象の地平線」を最初に説明した科学者の一人です。ティプラー・シリンダーの場合と同様に、カーのブラックホールを通って「時間内の」移動を行い、特異点の重力に押しつぶされることなく別の世界線に到達できる可能性が考えられました。

このときミクロ特異点の質量と重力場は、電子を表面に向けて「注入」することにより操作できます。2つの電気的ミクロ特異点を高速回転することで、カーのブラックホール効果を再現する局所重力正弦波を作り出したり修正したりすることが可能です。
なぜミクロ特異点が地球を飲み込まないのかという人や、その大きさ・安定性・質量・温度・その結果起こるホーキング放射について詳細を知りたい人もいるでしょうが、それらについては公開できません。(2000/11/6)

Q 世界線間でほんの小さなズレがあるだけでも、あらゆるものがあなたの世界線と違って見えるのではありませんか?
ズレとは、出発点と比べた局所重力場の相違を測定したものです。あくまで、世界線の全体的な変化を経験的に表した指標にすぎません。ある世界線においてまったく異なるものも、時間の経過につれてほとんど意味がなくなり、2つの世界線が「収束」してほぼ同じに見える場合があります。世界線の変化は指数で表せるものではありません。大きさや位置により異なる効力を持つカオスアトラクタ(※訳注:非線形力学におけるカオス理論に基づく、方程式の解などが近付く極限を表す)のような役割を果たします。(2000/12/13)

Q この世界線があなたの世界線から2%ズレているとすると、どうやって元の世界に戻るのですか? ここから未来へ進めば、ズレは無限大になるのではありませんか?
その通りです。この世界線に沿って進んだら私の未来へは到達できません。私が来る前の1975年へ戻り、そこから2036年へ行くのです。あなたの推論は非常に正確です。「あなたの」2036年へ行ったら私の世界とまったく違っている可能性があります。(2000/12/13)

また、あなたの言う「タイムトラベル」の正確な定義は何でしょう? 私が教わったのは、タイムトラベルとは厳密には局地的な観察結果であり、個人もしくは単一粒子の経験でしか測定できないものだということです。この定義によれば、「双子のパラドックス」(加速や重力による時間の遅れ)もタイムトラベル、眠りもタイムトラベルと考えることができます。あなたは、単一の世界線における特殊相対性理論の制限下の、非物質化や空間内の移動を論じているように思えます。

「祖父のパラドックス」(過去にさかのぼって自分の祖父にあたる人間を殺したら、当人も存在できなくなるというパラドックス)がありえないことは私も賛成します。(中略)この古典的なパラドックスが存在しない理由は単に、一観察者の立場から見たにすぎない問題を全宇宙に適用しようとしているからです。単一の世界線上の問題として考えるなら、あなたの言うことは正しいでしょう。

しかしながら、パラドックスが存在しないのは、宇宙が創造したものに対して私たちがどう反応しようが宇宙は気にしないからです。無数の世界線から成る超宇宙では、あらゆることが可能であり、100%の可能性をもっています。だからこそ、パラドックスは存在しないのです。(2000/12/21)

重力歪曲装置を使えば、今いる部屋から「踏み出し」て隣の部屋へ行くことができます。元の部屋に近ければその部屋は元の部屋にそっくりで、遠ざかるにつれて未知になっていくのです。(2000/12/30)

(中略)私の世界線では(タイムトラベルの)反対運動はありましたが、彼らの目的は権力を保持して、人々を支配するということでした。我々は、2020年までに、彼らのほとんどを抹殺しました。(2001/1/5)

世界線のズレは、重力歪曲装置が持つ観測変数で調べることができます。もっとわかりやすい言葉で言えば「重力レーダー」でしょうか。この装置のセンサーは、飛行前に装置周辺の地域重力の「スナップショット」をとるのです。そして、タイムトラベルの間、この基準線は定期的にチェックされ、破滅的な大失敗(どこからともなくレンガの壁が現れるとか)を引き起こすような、状況の著しい変化がないか確認しているのです。ある世界線と世界線の間の、可変重力ロックのズレが起きる割合は、装置を制御する3つのコンピュータによって出発点を元に算出、推測されています。それぞれの世界線の特徴をあれこれ説明するのは無駄です。(2001/1/10)

Q 世界線とは何ですか?(2001/1/15)

出発にはある特定の入り口が開くのを待たなくてはなりません。今年は2回あります。1回目はこの春の予定です。(2001/1/26)

Q 多重世界説やパラレルワールドはこれまで一度も証明されておらず、量子力学の分野での発見を説明する一つの方法として存在しているだけです。
説明だけでは実在することにはならない、というあなたの意見に賛成です。しかし、物理的な動きを説明する仮説を立てることは可能です。たとえ仮説が完全な形でなくとも、動きがいかに見事に予測されているかによって「真理」が判断されるのです。(2001/1/26)

多元的宇宙についての、今現在もっとも納得できる証拠は、自転する(カーの)ブラックホールについての物理学(特殊相対性理論から導き出された)から来ています。(中略)

私にとって多元的宇宙の存在は現実のものです。2036年に我々が論じている説について言わせてください。すべての可能性、結果、そして出来事は同時に起こっており、同時に存在するのですから、この宇宙に住む「あなた」より1日後や1日前に生きている「あなた」がいる複数の宇宙があるということです。

記憶こそが世界線や宇宙を超えた、過去の何人かの「あなた」とのいわば情報伝達手段またはコミュニケーションだとする人たちがいます。一見馬鹿げているようですが、もし、これが正しいとすると、別の世界線にいる未来の自分自身から同じように情報が伝達されてくるということも、単にありうる、いや、それどころか物理的には当然あることだと言えるでしょう。空想や「もしも」という推測は、実際は未来の世界線にいる別の「私たち」からの未来の記憶ということもありうるのではないでしょうか?

物理学によれば、それを否定する根拠は何もないそうです。(2001/1/26)