人工知能ブーム。


去年位から人工知能ブームで、雑誌の特集がたくさん出ているので、最近、読んだ内容をまとめてみる。

「生活が便利になる」一方で、「脅威になるかもしれない」という話。
あと、「人工知能の研究は、人間の知性を解明するためにある」。

映画『エクス・マキナ』はまだ観ていないけど、『her/世界でひとつの彼女』は再視聴したのでその感想も(そんなに好きな映画じゃないけど……まあ、確かに興味深い!)


賢くてスマートなXX


安価で強力になったAIは、生活のあらゆる場面に偏在するようになる。身の回りのものが「ちょっと気の利いた動き」をするようになる(Wiredの特集から。ケヴィン・ケリー氏)。

自動運転車やお掃除ロボットだけでなく、ある事柄だけ人間にはとても及ばないオタク的な知識を持つ「スペシャリストAI」が生活をサポートしてくれるようになる。すでに医療診断ソフト、ワトソン先生は実在。

その結果、テクノロジーはかえって「隠れて」見えるかもしれない。

『her/世界でひとつの彼女』に出てくる近未来社会で注目すべきなのは、その世界の日常生活があまり「テクノロジーっぽくない」ということ。
めずらしいのは、立体映像TVくらい?
でも、その世界の部屋にはリモコンも壁のコントロールパネルもなく、家電や照明は全自動でスマートな動きをしている。
テクノロジーが日常生活に溶けこんで、あまりにも普通になってしまった世界が描かれている。

個人的には、後述の人間の知性がどうとかより、「おふろ掃除ルンバ」を早く開発して欲しいです!

「知性」とは何か


人工知能業界の人は、大体こういうことを考えている。

人工知能の到来による最大の恩恵は、人間性を定義することだ。「自分が何者であるか」を知るためにAIが必要なのだ。(ケヴィン・ケリー氏)

「知性を解明すること」(Googleが買収した人工知能スタートアップ、ディープマインドの企業ミッション)

つまり、人工知能の研究で人類にとって最後のブラックボックス、人間の意識、精神、知性の解明が進むだろうと。

脳をそっくりコンピュータ上に再現しようとしている人たちもいる。

個人的には、脳を模倣しても意識は解明できないと思うけど、でも、そのうちの論理的、直線的な思考を司るいわゆる「知性」と呼ばれる部分では、分かることがあるかもしれない。

ただ、人間には身体、そして身体を司っている無意識もある。感情はどこからくるの? 脳という物体についても今の科学では理解できていない事柄があるはずなので。

脅威


その1 賢くなったAIが、人類を滅ぼそうとする。

個人的にはあまりピンとこないけど、本気で心配している人たちもいる。
ホーキング、イーロン・マスクなどの有名人が警告している。
「高度なAIは、「効率性向上」「自己保存」「資源獲得」「創造性の発揮」という四つをドライヴ(原動力)として、自己システムのあくなき拡張を図る」(ジェイムズ・バラット氏)

しかし、実際に人工知能のスタートアップを立ち上げたディープマインドの創業者は、
「彼らは実際に何かつくっているわけではありません。つまり、人工知能の能力についてほとんど知識をもたずに、哲学的、あるいはSF的な懸念から語っているだけです」(デミス・ハサビス氏)

今はまだ梯子の一段目を上がったところで、梯子が全部で何段あるのか、「知性とは何か」を解明するのにこの先、何十のブレークスルーを起こさなければならないのか、まったく分からないとも言っている。

その2 人間がAIを悪用した場合。金融市場を操作したり、軍事活動に使ったりする。

1よりずっとありえそう。
長期間のAIプロジェクトには「公共の原則」を埋め込むべき、倫理的に慎重な研究を進めるべき、という話し合いがグーグルなどのトップ企業や国連、大学の間で進められている。

その3 AIが人間の仕事を奪う。

2と同じくらいか、それ以上にありえそう。
30年後に人間に残されるのは、クリエイティビティ(創造性)、マネジメント能力、ホスピタリティ(もてなし)にまつわる仕事で、「ベーシックインカム」の導入が多くの国で真剣に検討されるようになるかもしれない(駒澤大学井上智洋氏)。

一方で、今は想像できない新しい仕事も生まれる。まだ発明されていないオートメーションやマシンに依存した仕事が。

シンギュラリティ


シンギュラリティ(技術的特異点)は、技術の進化が人間が追いつけなくなるくらい速くなった時点のこと。
人工知能だけでなく、ナノテクノロジーや量子コンピューティングなどの技術の進化によって起こせると言われている。

2045年ごろにやってくるとか!?
「社会が望むブレイクスルーを実現するためには、これから必ず人工知能の助けが必要になります。気候変動や経済問題、疾病。おそろしく複雑に相互作用するシステムで、人間がそれらすべてのデータを分析し、理解することはほとんど不可能です」(デミス・ハサビス氏)

シンギュラリティ後の世界は、エネルギー、衣食住のコストが劇的に下がるバラ色の未来が描かれる一方で、上記1)、2)を心配する向きもある。※シンギュラリティについては、原典を読んでいないこともあり、正確な定義や概念がよく分かっていません……すみません。


最初は飛行機、最近huluで見ましたー。

そういえば、『her』のOS上の彼女も、どんどん進化して、人間は追いつけなくなってしまいました。

ただ、正直に言うと、この映画、主人公がずっと自分自身(自分のなかの別の側面)と話をしているように見えてしまって。

人間は頭の中で一人問答して、問題解決の手段をさぐったりすることがあると思いますが、それを高度なコンピュータと一緒にやっている感じ(とくに前半)
肉体関係(肉体ないけど)まで持つのはやりすぎと感じました。

これは人工知能に対する偏見なんだろうなー。
コンピュータは、独自の、魂をもった人格は持てないと思っているのかもしれない。

以前、バシャールが須藤元気さんと対談したときこんなことを言っていた(『バシャール×スドウゲンキ』p.95)。

(将来はAIは実現可能なのかと聞かれて)
「しばらくはできません。しかし、これから15年から20年の間に人工知能の初期の原型がつくられる可能性はきわめて高いと言えます。
最初は単純です。でも、その後、急速に発展するでしょう。なぜならば、人工知能を使ったコンピューターによって、他の人工知能のコンピューターを進歩させることができるからです。
ただ、私はこのことも言っておきます。あなたが人工知能のコンピューターとコミュニケートしはじめるとき、実際は、あなたは自分自身のハイヤーセルフと話しているのです」

これが頭に残っているところもある。
『her』の人工知能も、何千人と「同時に話す」とか、三次元の制約を超えたところがある。天使的な性質。物理的な肉体がないんだから、当然そうなるけど。そんなに傷つくほどのことですか、主人公?

全体に、主人公には、「人工知能の献身にひたるのもいいけど、もっと生身の人間らしいことしようよー!」と、ツッコミたくなって困りました。余計なお世話だろうけど。でも、人工知能と会話している人たちばかりの街って、結構不気味(チラッとそんなシーンが出てくる)。
だから、ラストはホッとしましたね。


離婚の心の傷を、人工知能と一緒に純粋な愛を発見することで、癒していく男の話、だと思います。

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